2016年 05月 17日
プロローグ イラブに首ったけ |
1 イラブ
メジャーのとある球場でイラブが投げています。
相手はなぜかジャイアンツのキヨハラ!
早いカウントからフォークを投げるというクセを
カブスに見抜かれたと知ったイラブ、
今日は一転厳しい内角攻めです。
渾身の力をふりしぼった第1球が、
ちゅうちょなくキヨハラを直撃します。
血相をかえてマウンドにつめよるキヨハラに、
なぜかエルビスのポーズをきめたイラブ、
平然と一言。
「おれはペドロだ。勘定書はボストンへ回しな」
2 飛び火
こちら夕闇せまるボストン・フェンウェイパークです。
今夜は、ボストン・レッドソックスのエース、
ペドロ「ザ・ヘッドハンター」マルチネスと
ニューヨーク・ヤンキース、ヒデキ・イラブ
との一戦をおとどけします[1]。
これは、ギンザのママからのツケが
ボストンのペドロ事務所に送られてきて、
しかも、何を勘違いしたのか、
事務所が支払いを済ませてしまったことを
知ったペドロが烈火のごとく怒り、
セリグ・大リーグコミッショナーに訴え実現した、
格闘技戦です!
「どうしてオレがギンザの勘定を払わなければ
いけないんだ。オレは最近ママには縁がないぜ」
と息巻くペドロ。
セリグ氏は、ペドロの言い分を認め、
「ベースボールの普及のため」
こころよくこの一戦を認めたとのことです。
彼の裁定でレフェリーは何とキヨハラ!
ニューヨークでの試合前日の記者会見には
日本のモリ首相も登場。
イシカワ県選出の総理、再び
「イシカワはカミノクニ」
との爆弾発言。
「カミノクニ」とは何かをめぐり
ニューヨークの記者たちが激論。
結局「太ったヒキガエル」のことだろう
ということで決着[2]。
本当にそうなのでしょうか?
3 貴賓席
両選手はすでにリング上です。
イラブは派手なエルビス・コスチュームをまとっています。
勝利の際のエルビス・パフォーマンスを考えているのでしょうか[3]。
リングサイドではメリーが黄色い声をあげています。
たまたま先日の試合を見て
なぜかイラブを気に入ったブロンド美人のメリー、
今夜はストーカーに追われて
マイアミからやってきたとのこと。
貴賓席には、ヤンキースのワンマンオーナー「キング
ジョージ」ことジョージ・スタインブレナー、
タイガースGM(総監督)RS・ジュニアらの顔が見えます。
ジュニア、何やら隣のスタインブレナーに
しきりに話しかけています。
株の話をしているのでしょうか、
それともゴンザレスのトレードをもちかけて
いるのでしょうか。
そばのカブスGMエド・リンチが
「ソーサもいるデヨ」
とジョージの袖を必死にひこうとしているのが見えます[4]。
4 ホワンダル
超満員のファンが見守るなか、いよいよゴングです。
ペドロは、頭部への得意の右カウンターをねらっているようすです。
イラブはクリンチでもねらっているのでしょうか、
まったく動こうとしません。
「ホワンダフル!」
同じスペイン系のよしみで
ペドロのセコンドについていた
“ホワン”・ゴンザレスの突然の奇声です。
「すごい英語だ!」
ペドロの一瞬のひるみをみのがす
イラブではありません。
電光石火の反則キック!
ペドロたまらずダウン。
キヨハラ、ここぞとばかりカウントをとりはじめます。
ペドロ立ち上がれません。
イラブ堂々のKO勝ちです!
ペドロセコンド陣は血相を変えています。
当然でしょう。それらを悠然と無視、
マイクをとったイラブ、
何か言っています。
「ペドロ、いい試合だった。ベガスで待ってるぜ」
注
[1] ペドロ・マルチネス:ボストン・レッドソックスのエース。内外角を厳しくつく投球に定評がある。2004年アメリカンリーグ優勝決定シリーズ第5戦、ヤンキースの松井秀喜の頭近く投じたブラッシュボールは有名。サイヤング賞3度受賞。メジャー最高の右腕との呼び声が高い。ドミニカ共和国出身。
[2] 太ったヒキガエル:キャンプに太目の体型で参加したイラブを見て怒ったヤンキース・スタインブレナー・オーナーが、イラブをこう呼んだ。
[3] 最近泥酔のあげく不覚の大立ち回りを演じてしまったが、イラブはもともと有名人のものまねが得意なユーモラスな人物。
[4] 当時、タイガースGM、RS.ジュニアはホワン・ゴンザレスのトレードを、シカゴ・カブスGMエド・リンチはサミー・ソーサのトレードをそれぞれ、ヤンキースと交渉していた。ゴンザレス、ソーサともメジャーを代表する強打者。ヤンキースはプレーオフ進出をめざし打撃陣を早急に強化する必要にせまられていた。ヤンキースのオーナー・スタインブレナーは、ソーサを獲得したいと考えていたのだが、ヤンキースのフロントはゴンザレス獲得を優先し、交渉を進めていた。しかし、結局どちらのトレードも不成立。
メジャーのとある球場でイラブが投げています。
相手はなぜかジャイアンツのキヨハラ!
早いカウントからフォークを投げるというクセを
カブスに見抜かれたと知ったイラブ、
今日は一転厳しい内角攻めです。
渾身の力をふりしぼった第1球が、
ちゅうちょなくキヨハラを直撃します。
血相をかえてマウンドにつめよるキヨハラに、
なぜかエルビスのポーズをきめたイラブ、
平然と一言。
「おれはペドロだ。勘定書はボストンへ回しな」
2 飛び火
こちら夕闇せまるボストン・フェンウェイパークです。
今夜は、ボストン・レッドソックスのエース、
ペドロ「ザ・ヘッドハンター」マルチネスと
ニューヨーク・ヤンキース、ヒデキ・イラブ
との一戦をおとどけします[1]。
これは、ギンザのママからのツケが
ボストンのペドロ事務所に送られてきて、
しかも、何を勘違いしたのか、
事務所が支払いを済ませてしまったことを
知ったペドロが烈火のごとく怒り、
セリグ・大リーグコミッショナーに訴え実現した、
格闘技戦です!
「どうしてオレがギンザの勘定を払わなければ
いけないんだ。オレは最近ママには縁がないぜ」
と息巻くペドロ。
セリグ氏は、ペドロの言い分を認め、
「ベースボールの普及のため」
こころよくこの一戦を認めたとのことです。
彼の裁定でレフェリーは何とキヨハラ!
ニューヨークでの試合前日の記者会見には
日本のモリ首相も登場。
イシカワ県選出の総理、再び
「イシカワはカミノクニ」
との爆弾発言。
「カミノクニ」とは何かをめぐり
ニューヨークの記者たちが激論。
結局「太ったヒキガエル」のことだろう
ということで決着[2]。
本当にそうなのでしょうか?
3 貴賓席
両選手はすでにリング上です。
イラブは派手なエルビス・コスチュームをまとっています。
勝利の際のエルビス・パフォーマンスを考えているのでしょうか[3]。
リングサイドではメリーが黄色い声をあげています。
たまたま先日の試合を見て
なぜかイラブを気に入ったブロンド美人のメリー、
今夜はストーカーに追われて
マイアミからやってきたとのこと。
貴賓席には、ヤンキースのワンマンオーナー「キング
ジョージ」ことジョージ・スタインブレナー、
タイガースGM(総監督)RS・ジュニアらの顔が見えます。
ジュニア、何やら隣のスタインブレナーに
しきりに話しかけています。
株の話をしているのでしょうか、
それともゴンザレスのトレードをもちかけて
いるのでしょうか。
そばのカブスGMエド・リンチが
「ソーサもいるデヨ」
とジョージの袖を必死にひこうとしているのが見えます[4]。
4 ホワンダル
超満員のファンが見守るなか、いよいよゴングです。
ペドロは、頭部への得意の右カウンターをねらっているようすです。
イラブはクリンチでもねらっているのでしょうか、
まったく動こうとしません。
「ホワンダフル!」
同じスペイン系のよしみで
ペドロのセコンドについていた
“ホワン”・ゴンザレスの突然の奇声です。
「すごい英語だ!」
ペドロの一瞬のひるみをみのがす
イラブではありません。
電光石火の反則キック!
ペドロたまらずダウン。
キヨハラ、ここぞとばかりカウントをとりはじめます。
ペドロ立ち上がれません。
イラブ堂々のKO勝ちです!
ペドロセコンド陣は血相を変えています。
当然でしょう。それらを悠然と無視、
マイクをとったイラブ、
何か言っています。
「ペドロ、いい試合だった。ベガスで待ってるぜ」
注
[1] ペドロ・マルチネス:ボストン・レッドソックスのエース。内外角を厳しくつく投球に定評がある。2004年アメリカンリーグ優勝決定シリーズ第5戦、ヤンキースの松井秀喜の頭近く投じたブラッシュボールは有名。サイヤング賞3度受賞。メジャー最高の右腕との呼び声が高い。ドミニカ共和国出身。
[2] 太ったヒキガエル:キャンプに太目の体型で参加したイラブを見て怒ったヤンキース・スタインブレナー・オーナーが、イラブをこう呼んだ。
[3] 最近泥酔のあげく不覚の大立ち回りを演じてしまったが、イラブはもともと有名人のものまねが得意なユーモラスな人物。
[4] 当時、タイガースGM、RS.ジュニアはホワン・ゴンザレスのトレードを、シカゴ・カブスGMエド・リンチはサミー・ソーサのトレードをそれぞれ、ヤンキースと交渉していた。ゴンザレス、ソーサともメジャーを代表する強打者。ヤンキースはプレーオフ進出をめざし打撃陣を早急に強化する必要にせまられていた。ヤンキースのオーナー・スタインブレナーは、ソーサを獲得したいと考えていたのだが、ヤンキースのフロントはゴンザレス獲得を優先し、交渉を進めていた。しかし、結局どちらのトレードも不成立。
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by omg06
| 2016-05-17 16:43
| イラブに首ったけ